社内公募で想いを実現──薬局長から人財育成部へのチャレンジ

Doi Yuya
2013年入社 #現場経験を活かした活躍 #人財育成

全国で「そうごう薬局」を運営する総合メディカル株式会社(以下、総合メディカル)へ2013年に入社した土井 優也さん。薬局長を経て、2021年に社内公募制度を利用し人財育成部へと異動しました。そんな土井さんが現在の仕事や大切にする価値観、これまでの歩みやエピソード、今後のビジョンについて語ります。

    • 土井さんは2021年より人財育成部に所属し、研修の企画・実施、人事戦略に関する業務を手がけています。

      土井さん 「人財育成部では主に3つの研修を担当しています。1つ目は、入社後1~5年目の薬剤師職を対象とした、フォローアップ研修です。報連相・仕事の進め方といった社会人基礎教育からはじまり、医療人・社会人としての成長をサポートしています。定期的に成長を振り返ることでモチベーション維持を図るとともに、同期との絆を醸成する機会としています。

      2つ目は薬局長教育に関する研修です。総合メディカルには薬局長、エリアマネージャー、経営層として成長する機会が豊富にあり、それを実現するための研修やプログラムも整備されています。薬局長への登竜門となるマネジメント研修ファーストのほか、新任薬局長研修、3年次薬局長研修など、薬局長登用前から登用後まで、階層に応じたカリキュラムを企画しています。

      そして3つ目は、職種共通で実施している昇格審査について、企画・運用を担当しています。昇格審査は保有能力を評価する側面もありますが、受講により自身の強み・啓発点について気づきを得て、効果的なOJT(現場での能力開発)につなげる機会にもなります。所属長の関わりも含め、質のよいフィードバックを提供できるよう、企画を進めています。

      人事戦略に関する業務としては、社員のエンゲージメント向上に向けたタスクチームのメンバーとして施策を検討し、対話会の企画や社内報への記事掲載などを行っています」

    • 土井さんは、多岐にわたる業務を手がける際に、意識していることがあると言います。

      土井さん 「昇格審査においては、その結果が社員の人生を左右する可能性もあるのでミスは決して許されません。ですから、丁寧な業務遂行を心がけています。審査や研修は私1人が担当するわけではなく、サポートしてくれる方も多くいます。関係するメンバーと連携しながら、業務を進めています。

      また、フォローアップ研修については、1~5年目の各年代で行うことが途切れ途切れにならないよう、中長期的なつながりを意識しています。社員の成長に継続的に接することは、実は私自身のモチベーションにもつながっています」

    • このようにして、土井さんは日々の業務に尽力しています。

  • 社内公募で人財育成部へ異動──新鮮な環境の中、成長を実感する日々

    • 2022年で、入社10年目を迎えた土井さん。これまでにどのようなチャレンジを経て、キャリアと経験を積んできたのでしょうか。

      土井さん 「入社2年目で香川・徳島ブロックの薬局長(そうごう薬局 高松川東店)に着任しましたが、これが最初のチャレンジでした。新入社員として配属された店舗は薬局長候補の先輩が3名居る店舗であり、店舗運営上、薬局長に必要な知識・スキルを学ぶ機会が少ない状況でした。

      その中で、自分の理想とする薬局づくりをしたいという想いのもと、自ら手を挙げて薬局長になるための研修を受講しました。薬局長となるためには一定以上の知識・能力が必要とされています。研修では講義だけでなく、グループワークによる意見交換や現場実践課題など、知識習得から実践までが研修に組み込まれているため、なかなかハードでした」

    • 次に印象に残るチャレンジは、社内公募のタイミングだったと振り返ります。

      土井さん 「人財育成部への異動は、社内公募がきっかけです。入社4年目で薬局長のかたわら、香川・徳島ブロックの教育担当者の役割を任されました。ブロック独自で行う研修の企画・運用を担いましたが、その中で教育の難しさとともに、楽しさも感じることができたのです。

      この頃からすでに人財育成部には興味を持っており、ゆくゆくはそこで仕事がしたいと考えていました。そして2021年、初めて人財育成部の社内公募が出たため、チャレンジすることを決意しました」

    • これまでにさまざまなチャレンジを成功させてきた土井さん。しかし、その背後には失敗の経験と、そこから得た多くの学びがありました。

      土井さん 「現場にいたときはいろいろ失敗もありました。いちスタッフであれば影響の範囲が狭く、自分の頑張り次第という面もありますが、薬局長は部下や後輩を育てるという大きなミッションがあります。

      こちらの想いがあまりにも強すぎて、部下や後輩とコミュニケーションがうまく取れずにすれ違うといったことも経験しました。現場で人を育てる難しさに気づけたことは、人財育成部で働く際にも大きな教訓となっています」

    • 人を育てる難しさは感じつつも、毎日が新鮮だと土井さんは話します。

      土井さん 「これまでは薬局長として、現場で患者さんや地区のメンバーを相手に仕事をしていて、それはそれで大きなやりがいや楽しみがありました。一方で、今回の異動で業務内容が大きく変化し、毎日が新鮮だと感じます。総合メディカルは薬局にとどまらない幅広い事業を手がけており、多様なキャリアを実現する機会や支援体制が充実していることを肌で感じることができました。

      実は、私が入社した決め手も、社員に可能性が開かれている点が魅力的だったからです。このような環境で日々さまざまな学びがあり、自分自身の成長につながっていると実感しています」

  • 異動で深めた会社への理解──あらゆることに理念・ビジョンが紐づいている

    • 入社以来、長く現場に身を置いてきた土井さん。その中には達成感を覚える瞬間もありました。

      土井さん 「教育担当者として、香川県内における育成の仕組みづくりに携わったことが、達成感を得た出来事として深く印象に残っています。総合メディカルは薬剤師としてのキャリアが複線化していて、『薬局長→エリアマネージャー』などマネジメントに進む道と、『専門薬剤師』というスペシャリストとして活躍する道があり、社員は希望に応じてキャリアを選択できます。

      若手社員のうちからキャリアについて考え、希望するコースに応じ研修を受講できるようにしました。ブロックをあげた能力開発の礎を築くことができたと考えています。現在も香川県ではこの仕組みを土台に動いており、その運営等を後任者が引き継いでいます」

    • 現場での経験や達成は、人財育成部異動への足がかりとなりました。

      土井さん 「人財育成部への異動がかなった理由としては、香川県内での育成の仕組みづくりをはじめ、現場での長年の経験を評価していただけたからかな、と考えています。総合メディカルには『社内公募』のほかに『自己申告』という制度があり、その中で将来的に希望するキャリアを記載することができます。私はずっと人財育成部への希望があることを記載していました。

      実際に社内公募が出たときには驚きましたね。私にとっては、人財育成部の公募が出たこと、そして異動がかなったことは、この10年の中で特に印象深い出来事のひとつです」

    • 人財育成部に異動して1年を経た土井さん。そこには現場とはまた違う、新たな気づきがあると言います。

      土井さん 「薬局長時代は、『目の前にいる薬剤師を育てる』というイメージでした。その人の人柄やキャリアの希望を全て把握した上で、育成計画を立てることができます。一方、人財育成部では、『研修や施策を通じて会社を育てる』ようなものになります。対象は全社員となり、面識のない社員に対して講義を行うことも多いため、今までにない難しさも感じるのが正直なところです。

      でも、この難しさが気づきとなっています。何のために研修を行うのか、表面化している課題だけでなく中長期的なビジョンや課題にも目を向けて考える必要性を学びました」

    • そして人財育成部に異動したことで、総合メディカルという会社自体への理解も深まりました。

      土井さん 「人財育成部に入って、私自身が伝える立場になり、『あらゆることが会社の理念・ビジョンに紐づいている』と気づきました。当社の社是(存在理由)は、『わたしたちは、良い医療を支え、より良い社会づくりに貢献します。』なのですが、薬局長教育で扱う種々のカリキュラムの行先はここにあるのだと感じます。

      また、『社員の豊かな人生を願い、社員とともに成長します』という一文があります。当社には、先輩社員が新入社員のよき相談相手となり、社会人としてのスタートを支える『ブラザー・シスター制度』があるほか、私自身の部署異動に際しても上司や先輩、OJT担当の方など、さまざまな方々が私の仕事や成長を支援してくれています。

      このようなサポートの手厚さはもちろん、これまで現場でなんとなくやってきたこと、上司から言われてやっていることなどに、会社の理念・ビジョンがしっかり紐づいているのだ、と実感できましたね」

  • 「自らの経験を現場に還元する」ために──これからもずっとチャレンジし続けたい

    • 土井さんは現在、当面の目標として「関わる業務すべてにおいて力をつけて独り立ちしていきたい」と考えています。

      土井さん 「人財育成部に異動してから、体力の使い方や仕事の進め方ががらっと変わり、苦戦することもあるのが正直なところです。上司や先輩の支援を受けながら、まずは独り立ちすることを短期的な目標に置いております。

      その中で、自身の強みや経験を活かしながら研修の企画にも取り組みたいです。研修は常に同じ内容を実施するのではなく、環境や求められる役割の変化、受講生の属性などさまざまなことを考慮して、都度見直しが必要です。

      たとえば、薬局を取り巻く環境は刻々と変化しています。調剤報酬改定や法律・制度変更など、いち早く捉えて課題を見つけ、薬局長教育に取り入れていきたいですね。そこは、私に求められる期待役割のひとつだと思っています。

      社内における研修制度の充実ぶりは、人財育成部に来て改めて感じるところです。受講者の希望で選択できる、いわゆる手上げ式の研修も増えましたし、近年のコロナ禍では研修の在り方も大きく変化し、オンラインの活用が急激に進みました。より良い研修を作り上げるメンバーの一員として、今後も尽力していきたいですね」

    • 社員のエンゲージメント向上は、全社的に力を入れている部分です。

      土井さん 「人財育成部が属する人事本部は2021年にエンゲージメントチームを立ち上げ、私もその一員となりました。エンゲージメント向上のための視点はさまざまですが、対話機会の創出や理念浸透が直近の課題だと捉えており、すでにさまざまな企画が進んでいます。

      たとえば、社長や執行役員、薬局事業における運営部長との対話の場を設ける企画を今期からスタートしました。会社のビジョンや戦略、企業理念を直接聞くことは、仕事に対する責任感ややりがいにつながります。今後も、会社と社員の相互理解を深めるために力になりたいと考えています」

    • 土井さんはさらに、チームリーダーとしてのビジョンも描いています。

      土井さん 「これまで、業務において多くの方々に支えてもらいました。異動から1年と少し経ちましたので、私ひとりで企画・運営することや、リーダーとして周りを巻き込みつつ大きな成果を上げることにも積極的に取り組みたいです」

    • 土井さんは自身の仕事を通じて、経験を現場に還元したいと考えています。

      土井さん 「薬局長の経験から受講生に伝えられることも多いので、私自身の強みとして、研修に活かせていると思います。また、将来、人財育成部から他の部や現場に移ることがあれば、やはり人財育成部での経験を活かしたい。

      現場に戻ることがあれば、エリアの複数の店舗を取りまとめるブロック長などにもチャレンジし、より良い環境作りを通じて、積極的に現場に還元したいですね」

    • 土井さんの経験は、行く先々で還元され、多くの社員を支えています。社員の笑顔や成長をモチベーションに、今後もチャレンジを続けていきます。