患者さん一人ひとりに寄り添うために。社内制度を活用してがん分野の専門薬剤師へ

Motomura Shingo
2019年入社 #病院からの転職 #専門性

総合病院勤務を経て、2019年総合メディカルに入社した本村 真悟さん。入社から2年後、社内公募にて「外来がん治療専門薬剤師育成プログラム(現:薬剤師活躍支援プログラム(がん))」へ参加。現在はがん分野の専門薬剤師として活躍しています。本村さんが専門薬剤師をめざした経緯をはじめ、仕事への思いを語ります。

  • 専門薬剤師としての知識を活かし、その人にとって適切なサポートを行う

    • 総合病院での薬剤師勤務を経て、総合メディカルに中途入社した本村さん。現在は、専門医療機関連携薬局・地域連携薬局である「そうごう薬局 塩原店」にて、専門薬剤師として勤務しています。

      「専門医療機関連携薬局とは、がんをはじめとする高度な薬学管理が必要な患者さんに、適切なサポートを提供できる薬局のことです。そのため、患者さんへの対応に加え、地域の薬局に対して、薬剤の手配や抗がん薬などの薬剤に関する情報提供も積極的に行っています」

    • そうごう薬局 塩原店には10名の薬剤師が勤務。そのうちの3名が専門薬剤師で、がんの専門資格を保有しているのは本村さんを入れて2名です。

      「通常の薬剤師業務はもちろん、塩原店はがん患者さんの来局が多いため、その対応と服薬指導を主に担当しています」

    • 中でも力を入れているのが、対面での指導にプラスして行う「服薬期間中のフォローアップ」です。

      「たとえば、副作用の出やすいタイミングをあらかじめこちらで把握しておき『この日あたりに副作用が出そうなのでお電話させてもらってよろしいですか?』と事前に患者さんにお伝えした上でご連絡しています。

      その後、お電話でお伺いしたことやフォローアップ内容をトレーシングレポートにまとめ、医療機関や薬剤部と連携し、患者さんにとって必要な医療や支援が受けられるようにサポートしています」

    • がん患者さんの来局が多い薬局だからこそ、患者さんからの相談などにもスムーズにお応えできるように、スタッフの教育担当としてがんに対する知識面のベースアップも担っている本村さん。このほかにも、がん診療拠点病院である総合病院との連携を進め、共同で月1回の勉強会を開催するなど、業務の幅を広げています。

      そんな本村さんが薬剤師として最も大切にしていることは、患者さんに寄り添うことです。

      「患者さんの中には、急に病気を宣告され、気持ちの整理がつかないまま治療がはじまり、薬局に足を運んでくる方もいらっしゃいます。治療についても主治医の先生から話があるのですが、その時は上の空というか、しっかりお話を聞く余裕がない方も多いです。これまで体験してこなかったことに直面し、不安な気持ちを抱えて日々を過ごしている方も少なくありません。

      だからこそ、そんな患者さんの気持ちを少しでも和らげてさしあげたい。薬局に来ていただいた際やお電話でお話を伺った上で、『しっかりとサポートしていくので、一緒にとりくんでいきましょう』とお伝えしています」

    • 専門薬剤師として、患者さんに寄り添うサポートを続けている本村さん。患者さんの声に真摯に耳を傾ける中で、「話を聞いてもらえてよかった」「不安な気持ちが解消されて、前向きに治療を続けることができた」と、あたたかいフィードバックをいただいたとき、何よりもやりがいを感じると語ります。

      「僕が関わることで、少しでも、患者さんが治療に前向きに向き合うことができれば、そんなお手伝いができればと思っています。薬局ってただ『薬をもらう場所』だと思っている方も多いと思いますが、そんなことはありません。薬剤師は患者さんの心に寄り添い、サポートができることをもっと広めていきたいですね」

  • 病院から薬局へ。経験を積んでいく中で見えた、薬剤師として本当にやりたいこと

    • 専門薬剤師として患者さんと積極的に関わっている本村さんですが、新卒の際に選んだ就職先は総合病院でした。

      「学生時代は自分がどんな薬剤師をめざしたいかの目標が定まっておらず、インターンへの参加や職場見学をしていく中で、病院であれば幅広い経験ができそうだと感じ、進路を決めました」

    • 救急病院として救急医療を担う病院だったことから、入社から半年ほどで日本DMAT隊員 業務調整員の資格取得。災害医療の現場を経験する機会もありました。

      「病棟では、外科と消化器病棟、それと糖尿病の教育入院の患者さん向けの講師も担当しました。たとえば、糖尿病の薬にはどのようなものがあるのか、きちんと理解して使えば薬も怖くないなど、糖尿病治療に用いる薬や服薬について基本的なことを伝える役目を担っていました。本当に幅広くさまざまな業務に携わることができたと感じています。

      また、医師や他の医療スタッフの人たちとコミュニケーションをとったり、カンファレンスに参加したり、自ら積極的に学んだことで、大きく成長することができたと感じています」

    • 病院薬剤師として経験を積み重ねていく中で強く思うようになったのが「もっと、患者さんとじっくり向き合っていきたい」ということでした。

      「急性期が中心の病院だったこともあり、一人ひとりの患者さんと向き合う時間が短かったのです。じっくりというよりは単発で接するような形だったため、患者さんに深く接するには、病院よりも薬局の方がいいのではないかと考え、転職を決めました」

    • 数多くある薬局の中で総合メディカルを選んだきっかけとなったのは、学生時代の実務実習先だったこと、さらには大学の先輩たちが活躍していることでした。実務実習での経験や先輩たちの話から、総合メディカルにおける幅広い薬剤師の働き方に興味をもったそうです。

      「研修などの制度がしっかりしているという印象を受け、そういった制度を利用すればキャリアアップができるんじゃないかなと思って総合メディカルにしました。

      最初から専門薬剤師になろうとまでは考えていなかったんですが、薬局長などのマネジメント職や、専門薬剤師など、幅広い選択肢があれば、入社してからいろいろ見えるものがあるだろうと思ったんです」

    • 入社後、総合メディカルの研修制度を活用し、専門薬剤師として活躍している本村さん。薬剤師として本当にやりたかった「一人ひとりの患者さんと向き合う」という思いを実現しています。

  • 研修制度を利用し「外来がん治療専門薬剤師」を取得。専門薬剤師としてのキャリアへ

    • 入社後は、そうごう薬局 石丸店へ配属された本村さん。病院と比べて、患者さんの病名や検査結果などにすぐにアクセスができる環境でない中、処方箋を見てどうコミュニケーションを取るべきか、あらためて学んでいったと言います。

      「病院の薬剤師時代は、薬剤の量をしっかりチェックすることや、服薬後の経過観察に重点を置いていましたが、薬局では生活指導のアドバイスやサポートに注力しているところに大きな違いを感じました。

      少しずつ業務に慣れていくにつれ、患者さんから『あなたに相談してよかった』といっていただけるようになったことはうれしいですね。お役に立ててよかったと心から思いますし、薬局に転職してよかったと思う瞬間でもあります」

    • そんな本村さんにとって大きな転機となったのが、社内公募での外来がん治療専門薬剤師育成プログラム(現:薬剤師活躍支援プログラム(がん))への参加でした。

      「参加のきっかけは、他薬局の応援に行った際、がんの専門的な知識を持った薬剤師の先輩が活躍している姿を見たことです。『専門薬剤師はこういうことができるんだ』と感銘を受けました。

      薬剤師としての強みを身につけたいことはもちろんですが、患者さんにもっと専門的にアドバイスできるようになりたいとの思いもあり、応募しました」

    • 資格取得をめざし、まずはがんに関する学びを深めるところからスタートした本村さん。先輩からの指導や、症例検討を通して知識を深めていきました。

      「プログラム参加以前にもがん患者さんに関わっていましたが、知識を身につけていくうちに、自分は未熟だったと痛感しました。もっと知識があれば別の視点からアドバイスできたのにと反省したんです。

      だからこそ、学びを深めていくことが患者さんにとってプラスになると、モチベーションにつなげることもできました」

    • また、周りの先輩や一緒に学ぶ仲間の存在も大きかったと言います。

      「資格を持っている先輩方からのアドバイスや、プログラム参加者の方とのディスカッション、同じ目標を持つ仲間とのやりとりは大きな支えになりました」

    • プログラム参加からおよそ2年。筆記・面接試験を通過し、九州がんセンターでの病院実習を経て外来がん治療専門薬剤師の資格を取得した本村さんは、現在、プログラムで身につけたがんに関する専門知識を活かし、さらに発展させていくために、新たに専門医療機関連携薬局となった塩原店にて専門薬剤師として活躍しています。

  • 患者さん一人ひとりの思いに応えられる薬剤師が増えるように力を尽くしたい

    • がん分野の社内専門薬剤師として、塩原店に赴任してから3カ月ほどたつ本村さん(2024年1月現在)。日々の薬局業務に携わりつつ、社内外に向けた情報発信にも力を入れています。

      「専門医療機関連携薬局の数は少なく、福岡県では8つ程度。患者さんにもまだまだ認知されていない状況です。患者さんにとって有益な情報やサービスをご提供できたとしても、サービスを必要としている人々に届かなければ意味がありません。

      だからこそ、学会発表や論文執筆を行うなど、世の中に向けてしっかりとアピールしていくことも大切だと考えています。これは、より専門性の高い知識を持った薬剤師を増やしていくためにも、必要なことです」

    • 薬剤師として患者さん一人ひとりに合ったサービスを提供していくために欠かすことができない情報発信。そんな活動に積極的に携わっていける環境だからこそ、さらに力を入れていきたいと本村さんは語ります。

      「それぞれの専門分野に特化した専門薬剤師が増えれば、より患者さんの求めるニーズに応えることにつながります。地域医療に携わる薬局の薬剤師として、患者さん一人ひとりにじっくりと向き合い、より適切な医療の提供へつなげていくためには、専門薬剤師だけでなく、総合的な判断ができるジェネラリストの存在も重要です」

    • 患者さん一人ひとりとじっくり向き合い、適切なフィードバックができる薬剤師を増やしていきたい──そんな薬剤師が増えることで、一人でも多くの患者さんが安心安全に薬物治療を受けられるようになれば、薬剤師、そして薬局が提供できるサービス・サポートの向上へとつながっていくと考えている本村さん。

      患者さん一人ひとりが少しでも穏やかな気持ちで治療に向き合えるよう、本村さんのチャレンジはこれからも続きます。

      ※ 記載内容は2023年12月時点のものです